第十七回 周詞佳美さん (Landscaper)

Yoshimi ShujiYoshimi Shuji

カナダで活躍する日本人、第17回目はワーキングホリデーで渡加以来9年目に念願のカナダ永住権を取得。その間も一貫してLandscaperとしてのスキルを磨き続けた周詞佳美さん(以下敬称略)をご紹介します。風景や庭園を魅力的にする仕事、Landscapingという職業はあまり知られておらず日本人は皆無に近いそうですが、カナダでは根強い需要があり、現在新しいキャリアを模索されている方への選択肢の一つとしても面白いのではと思い今回インタビューをお願いしました。


QLS:このたびは永住権取得おめでとうございます。これまでを振り返っていかがでしたか。

周詞: 初めてカナダに来てから約9年でPRの取得の夢が叶いました。今となってはあっという間だったと感じていますが、申請に至るまでの期間中はPR取得への道のりがとても長く険しいものに感じられました。ワーキングホリデーで初めてカナダに来て、殆ど英語の話せなかった私を雇ってくれたのは現在働いている会社でした。1年間働き、英語も徐々に話せるようになって毎日がとても楽しく、何よりも自分に合っている仕事だと感じ、更にスキルを磨くためにカレッジに行き勉強する事を決めました。カレッジ行きを決めてからESLのカレッジトランスファークラスに通いアサイメントやテスト勉強、本当に毎日大変で私が人生で1番勉強した時期だったと思います。人生初体験のカレッジ生活はとても楽しく刺激的で、もちろん英語での苦労はありましたがいい思い出ばかりです。ワーホリ期間中からお世話になった会社で在学中もアルバイトをさせてもらい、卒業後は正社員として、そして現在も働いています。PR申請にあたり会社にもサポートをお願いし、快諾してもらったお陰のPR取得となりました。今までビザの期限や更新が常に頭の隅から離れず、人生の先行きに不安があったのが今回PR取得でスッキリし次の自分の目標に向かって進むことが出来そうです。

QLS: 周詞さんはカナダにはじめて来られてから一貫してLandscaperとしてお仕事をされていますが、この仕事に興味を持たれたきっかけは何ですか。

周詞: Landscapingに興味をもったきっかけは高校受験の時、母のおすすめ校が農業高校。手に職をつけなさいと散々言われました。当時、私の将来の夢はあまり人と関わらない仕事だったので、人の代わりに草木や花と関わる仕事は自分に向いているかもと思い農業高校に進学しました。私にとって庭を作る事は植物などの材料選びから設計、完成までの工事、完成後のメンテナンス全てが面白いことでした。

QLS: カナダでは具体的にどのような仕事をされていますか。

周詞: ダウンタウンから少し郊外に出ると多くの家にフロントヤード、バックヤードがありオフィスビルなどの大きな建物の周囲にはほとんどの場合広々とした芝生のエリアや庭があります。その庭の清掃、草木や花の植栽、芝刈りなどの手入れをするメインテナンス業を主に行っています。その他にはコンストラクション業(施工業) として庭づくり、主に芝生の張り替え、樹木の植栽、石張りのパティオやウットデッキ、花壇などを作ったり改修工事をしたりしています。冬の間は庭の仕事が出来ないため除雪作業をしています。

QLS: 周詞さんはLandscape Architectを日本とカナダ両方で学ばれていますが、プログラムの内容、日本とカナダのLandscapeに対する考え方の違いはありましたか。

周詞: やはり日本庭園は世界でも有名なので、日本の学校では歴史に沿って日本庭園や公園の勉強しました。カナダのカレッジではより現代的で実践的な授業が多かったと思います。日本とカナダでのLandscapeの違いは、どこから何を説明したらいか分からないぐらい色々違いがありますが、1番想像しやすそうな家のLandscapeで考えると、日本の場合、家はほぼ必ず柵か塀で囲われていて庭は囲いの内側のプライベートな空間に作られることが多いですが、カナダで柵や塀のある家はあまり見かけません。歩道のすぐ横にドライブウェイやフロントガーデンがありその奥が家だったりします。囲いを作りその中にいることで安心安全を感じる日本の感覚と、死角を作らず何かあったら外からすぐ分かるから安心安全と考えるカナダの人の感覚。そしてオープンだからこそカナダでは多くのハウスオーナーさんたちは手間やお金をかけて庭を綺麗にしています。芝も日本で一般的に使われる芝は年間数回の芝刈りで管理できるものですが、カナダでは種類の違う芝が使われている為ほぼ毎週の芝刈りが必要です。それによって日本に比べカナダのLandscaperの仕事は高需要なのです。

QLS: 日本とはだいぶスケールが違いますね。さて、Landscaperの仕事の魅力、大変な点についてもコメントをお願いします。

周詞: Landscaperの魅力は自分のした仕事が即座に目に見えて、その仕事が形としてしっかり残ることです。庭や樹木は何十年と、花壇は1シーズンを通して変化、成長、利用されているのを見届けられることが嬉しいです。また冬が長く厳しいカナダの生活で春から秋のガーデニングやOutdoor living lifeは欠かせない楽しみの1つだと思います。その楽しみのために老若男女やバックグラウンドを越えて多くの人たちのお手伝いできる仕事がLandscaperだと思います。デスクワークが苦手な私には毎日屋外で自然に囲まれてのびのびできるいい仕事です。

Landscaperの大変なところは、春から秋にかけてしか造園の仕事が出来ないことです。多くの会社は冬季は雪かき業やリノベーション業に転業をしますが、会社によっては従業員を一時的に解雇し冬季休業する場合もあります。私の務めている会社は雪かき業へ転業をするのですが、除雪作業は雪が降り次第24時間体制で働かなくてはならず、勤務終了も雪がやむまでと不規則で長時間拘束されるハードワークです。出勤時間、拘束時間そして貰える収入の額も天候次第なのが辛いところです。また冬季の仕事の不安定さや、肉体労働への不人気からか、ハイヤリングもここ数年私の会社では苦労の1つです。

QLS: これからカナダで何をしようか?と悩んでいる人へのアドバイスをお願いします。

周詞: 日本人がカナダで生活する上で自分がやりことを探して、希望する職業に就くことは簡単ではないですが、求人サイトを見ると私が初めてカナダに来た当時よりも断然仕事の量も職種も増えてきてチャンスはいっぱいあると思います。それでも、やはり言葉の壁や文化の違いを乗り越えて100%自分のやりたい事や理想の仕事に巡り合うハードルは高く、時には妥協や目標設定のし直し、路線変更ができる対応力や考え方も必要だと思います。そして言葉の壁がある以上それを乗り越える為に真面目に頑張ることは必須です。ですが、頑張れば結果が出て認められる可能性がカナダにはあると思うので気長に地道に頑張ってください。

QLS: カナダではカレッジを出ても専攻によってはカナダ人でさえ仕事が見つからないという時代に入っていますが、少し視点を変えると意外と高需要な仕事はありそうです。Landscaperもまさにその一つで、カレッジのコースは人がなかなか集まらない一方、これまで主力だった層が高齢化で人手不足が深刻だと聞きました。また、”あまり人と関わらない仕事”というのは、語学のハンデのある外国人にとってはまさにキーワードだと思いました。本日はお忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。