ファミリークラスの不可解な条項

今月は移民・難民保護法(IRPA)におけるファミリークラスの不可解な条項についての一考察です。

現政権は、家族の再統合を移民政策の最重点課題の一つと位置づけ、ファミリークラスからの永住権発行数を増やし、審査プロセスを効率化し、審査促進のために25ミリオンドルを投じると発表した。もちろん家族が安心して一刻も早く共に暮らせるようにすることは、人道的にも、長期的には経済効果が期待されることにも異論はないが、移民法におけるファミリークラスの規定には首を傾げざるをえない条項も多い。

その最たるものが、“結婚やコモンローの関係が始まってから2年経過する前に永住権を申請した場合は、永住権発行後も2年間は同居し夫婦関係を続けなければならない”という条項だ。例えば、出会いから半年後に婚姻し2年経過した直後に申請したカップルにはこの条件は適用されないが、婚姻前に5年以上の事実上、婚姻またはコモンローに匹敵するような関係があったとしても、婚姻し1年に満たないカップルが移民申請した場合にはこの条件が適用されてしまう。婚姻前の二人の関係の深さや長さは全く考慮されていない。また、二人の間に生まれた子供がいる場合はこの条件を免除されるというのも、不妊症のカップルの存在を考慮せず、子供を持つことが関係の深さの尺度とされていることに違和感を感じる。(移民法規則第72.1条(2))

昨年追加された条項によって、婚姻の儀式の際には二人が共に物理的に参加していなくてはならず、 Proxy(代理)によるものや、どちらか一方がビデオコンフェレンスような形で参加した場合は、移民法上は配偶者とみなされなくなった。(移民法規則第5条(c))一方、日本のように市役所で婚姻届けが受理されるだけで婚姻が直ちに成立し、しかも、届出の際には代理人を立てることも許され、必ずしも儀式など不要な国の場合はこの条項は全く当てはまらない。

移民法規則第4条第1項には、1)カナダの永住権取得を主要な目的として、配偶者、コモンローパートナーとなった場合、または、2)その関係が純粋でない場合は申請資格を有しないという規定がある。しかしながら現代において婚姻の動機は伝統的な価値観によるものから、子供が欲しい、税制面で有利など様々である。北米の夫婦の50%以上が離婚するというデータが示される一方で、申請者を従来の“夫婦関係”の定義に無理やり押し込めて大量の証拠写真やコミュニケーションログを提出させるのは、いかにも遅れたやり方のようにも思われる。

このように、ファミリークラスの規定は既に時代の変化にそぐわないものや、熟慮なしに即席で作られた条項も多い。また、実際には“主要な目的”ではないにしても、移民法規則第4条第1項の適用を容易に回避して、申請基準を満たせてしまう現状も問題視されておかしくない気がする。