Holman faces fraud and theft – 真相がかすむ移民コンサルタント詐欺事件

 
6月14日(木)にカルガリーで起こったプロボノ移民コンサルタントによる詐欺行為についてのニュースが流れた。被害者が日本人だと聞いてちょっと驚きながらも、記事の詳細を読んだ。

学生ビザで娘さんを連れて3年前にカナダにやってきた55歳の日本人女性が、40歳のカナダプロボノ移民コンサルタント、Melissa Holmanに、カナダ永住権もなく、市民権もないのに、家を購入したり、投資をすることはできない、政府に知られたら、不動産の没収だけでなく国外追放されると言われて、購入した不動産2軒と現金合わせて約$2.4ミリオンをMelisa Holmanに所有権の移転処理を行っていたと言う内容だった。

一瞬、「$2.4ミリオン(日本円で約2億円)にも及ぶアセットをそんなに簡単に移民コンサルタントといっても、あかの他人に所有権を移したりするだろうか。」という疑問が浮かぶ。

警察側からのレポートによれば、不動産の所有権移転は去年の7月に行われたという。既に約1年が経っている。この被害者は、もう3年カナダに住んでいるわけで、全くカナダについて知らないわけではないはずだ。一体この被害者はこれが詐欺行為であることにいつどうやって気がつき始めたのか。それにしても$2.4ミリオンを持ってなぜカナダに来ていたのか?

この事件の裏側に隠れている情報がありすぎるにもかかわらず、メディアが“悪徳プロボノ移民コンサルタントの餌食になった日本人移民”という一方的な脚色をしているために、本当の事件の真相が見えてこない気がした。

その上、メディアはこの”Not for profit”を前面に打ち出したコンサルタントのホームページには悪徳弁護士に対する批判や詐欺行為を絶滅しようとするスローガンさえ書かれてあったことに、幻滅しているという意味のコメントを加えていた。

それは違うと思った。

ネット上には真偽が確認できない情報は氾濫している。

インターネットのお陰で、必要な情報に瞬時にアクセスできる半面、残念ながらその情報自体の信憑性をはかる方法がほとんど存在しない。誤った情報、偽りの情報をネット上に掲載することは倫理に反する行為であっても、その行為を規制することは現状不可能なわけで、情報の真偽を決めるのはそれを読む各個人の判断にかかってくる。

大体、悪徳弁護士、悪徳移民コンサルタントが自分は悪徳だとホームページに書くだろうか。

それは例えば、信じられないほどまずい料理を出すレストランが自分のホームページで、「うちには毎日たくさんお客様が来られます。うちのレストランを試した人は皆うちのレストランをおいしいと言ってくれています。」と書いてあるのを読んで誰が信じると言うのか。

あるいは、
「ここのレストランはおいしいから絶対におススメです。皆さんも是非食べに行ってください。」などと、真偽が確認不可能な情報を、本人のIDも顔写真もないレビューを使って自分のレストランを宣伝するのを鵜呑みにするだろうか。

実際、ネットでおいしいと宣伝されているレストランに行ってひどい経験をした人は少なくないはずだ。

インターネット、ツイッター、フェースブック、今すぐに参照したい情報に瞬時にアクセスできる時代の中にあって、皮肉にもその情報の餌食になってしまう人達のニュースが報道される。

重要なのは、サーチするする手段にかかわらず、必要情報をサーチする過程で、確認不可能なマーケティング文句に惑わされないことだ。

確かに本当に信頼できる移民専門家を探すのは決して簡単なことではないと思う。

ただ少なくともメディアを通して参照した情報の真偽を、他人に頼るのではなく自分自身で確認する努力を怠ってはいけない気がする。

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