Dangerous Good Grade Pill ? – 興奮剤、受験戦争、優等生 何故?

 
先月のニューヨークタイムズで偶然、こんな記事を目にした。受験戦争に薬で対処する学生が増えているという話だ。受験戦争に使われている薬はA.D.H.D.(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)に悩む子供たちに処方されているAddreallやVyvanseなどのamphetamines。勿論この他にも同様の薬は数多くあるようだが、目的はどんなに疲れていても、集中力、記憶力が一時的に倍増するというもの。

これらの薬は結果がでるから手がつけられない。もっと驚いたことにこの薬はとりわけIvy leagueを目指す裕福な家庭の優秀な子供たちの多くがSATを受ける前にこの薬をのむという。つまり、日本でいう東大を目指す優秀な学生にあたる人達が、厳しい受験戦争を勝ち抜くために使い始めているというのだ。

DEA(The Drug Enforcement Administration)によれば、このamphetaminesはコカインやモルヒネと同じクラス2の統制薬物で、これを友達に売ったりする行為は刑法上の重罪となる。

AmphetamineはA.D.H.Dを持つ子供たちの気を落ち着かせる効果がある。ところが、これをA.D.H.D.を持たない子供がこの薬を摂取すると一時的ではあるもののかなり長時間にわたって集中力と記憶力が倍増される。

匿名でインタビューを受けた男子生徒がこんなことを漏らした。「徹夜で勉強して、そのあと長時間の試験を受けても疲れ知らず。薬が、テストの答えを教えてくれる感じがする。これはまさにアカデミックステロイドっていうところかな。自分が薬を使っていることは周りの人には絶対わからないはず。」

また別の女子生徒が、「Addreallは皆使ってる。この薬のおかげで成績がB からAに上がった。手に入れるのも簡単、セラピストにA.D.H.D.の典型的な症状があるふりをするだけ、すぐ処方箋がもらえちゃう。勿論、友達からいくらでも手に入るけどね。」

将来的に懸念される副作用に関する情報が極めて乏しい中、明白な結果をもたらすこのアカデミックステロイドと言われるamphetaminesのこの使用法は急速にアメリカ全土に広がっているという。

ニュースには案の定、既に薬中毒になってリハビリを受けている子供のインタビューも含まれていた。インタビューを受けた男子学生の話によれば、リハビリを受けている学生は既にかなりの数に達しているという。さらに恐ろしいのはその子供たちのほとんどが自分たちが麻薬中毒でリハビリを受けている自覚が全くないという。いわば、ビタミン剤感覚でAddreallを使っていたという恐ろしい事実が露出している。

副作用や後遺症がほとんど見えていない中で、一番大切な健康を犠牲にしてまで、受験戦争を勝ち抜こうとする子供たちがいる。

教育が本来の目的を逸脱している。他との差別化を図るため、まるでこの犠牲が将来の幸福を約束してくれかのように、教育が選別手段に変わってしまっている。

振り返ると、大学を卒業して、社会に出て初めて人生がスタートしたと感じたのを覚えている。まして、生きていく上で本当に必要だと感じたスキルは学校教育の中では学ぶことのできないことばかりだったような気がする。

人間の闘争本能が生み出した学歴社会の弊害から子供たちの将来を守るために、この薬の使用を禁じるだけでなく合格者に対するドーピング検査を義務付ける必要があると言える。

そして、何よりもこのトレンドがアジアに伝わってこないことを祈らずにはいられない。

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