One Child Policy - 強制堕胎が昇進の第一条件

 
先週のニューヨークタイムズで中国の北京でのニュースが目にとまった。一人っ子政策によって妊娠8カ月の女性、Pan Chunyanが堕胎を強いられたという話。中国の日本でいう地方公務員に当たる人達が、Pan Chunyanを別の2人の女性と共に監禁して病院に連れて行ったという。そこで無理やり中絶の同意書に拇印を押させて、麻酔をかけて強制堕胎をやってのける。

妊娠8カ月じゃ、殺人と同じじゃないのか。

この話を聞いたとたんになぜかシリア情勢を思い出す。中国の実態はシリアと同じなのか。

このニュースは、この事件があったのは実は今年の4月8日だったということを、彼女の出産が死産に終わったという事実に言及する時に初めて伝える。

もうこの事件が起こってから3カ月も経っている。勿論、犠牲者は彼女一人だけであるはずもない。氷山の一角にちがいない。

先週このニュースとほぼ同時に、アメリカが中南米の麻薬密売を厳しく取り締まり始めたことで、麻薬密売組織がアフリカを通してヨーロッパに麻薬を流し始めているというニュースが報道されていた。アメリカはこの麻薬組織の動きを封じるために、アフリカの各国に麻薬を取り締まるための警察網を構築し始めているという。

アフリカにまでわざわざ自国の人間を送って麻薬を取り締まるアメリカは、3か月前にあった中国のこの冷酷極まりない行為を今になって初めて報道している。

中国の政策アドバイザーや学者グループはこの一人っ子政策が、既に深刻な問題になりつつある高齢化社会に加え、さらに将来的に労働人口の空洞化を招く要因であるとして批判の声を高めている。

ところが、その一方で官庁職員が昇進するための必要条件が人口増加をどれだけ低く抑えられるかにあるという。職場における他のパフォーマンスがどんなに高くてもこれができなければ昇進は見込めないというのだ。つまり強制堕胎行為が昇進の第一条件になっているということになる。

一体どうなっているんだこの国は?

子供を作らなければ人口が増えないと言って、妊娠8カ月の女性に堕胎を強制するのは、人を殺せば人口が増えないと言っているのとどこが違うのか。

関係ないと言えば、その一言で終わってしまうこの一人っ子政策。正義の味方のアメリカも、国連も、シリア問題を永遠に解決できない中で、この件については沈黙を守っても国際社会から何の批判も受けることはない。

中国政府上層部が本当に国民一人一人の利益を考えているのなら、いくらでも他に解決方法があるはずなのに、人権を平気で無視する共産主義社会が間もなくアメリカを抜いて世界一の経済大国になる。

だから誰もが横を向いて沈黙を守る。

中国の経済成長によって多くの中国人が裕福になって、中国人観光客が世界各国に与える経済効果の重大さを誰もが認識している。

ただその陰で襤褸切れのように搾取されて終わってしまう人々の姿を忘れてはいけない。

内政不干渉の原則とは、本当にこんな世界を目指しているのだろうか。

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