Bikes and cars don’t mix! -1本の白線が守れる命の数 ?

 
トロントに自転車レーンができたのがいつだったかもう覚えてもいない。覚えているのは運転している途中、突然現れるサイクリストの姿に、「こんなことが本当に許されていいのか。」とちょっと切れた瞬間。

権利が尊重されるべきなのは理論的には理解できても、人の命を犠牲にしてまで、これだけ安全性が保障できないことを簡単に許してしまうトロントの市長に一言言いたい気がした。

聞いた話によれば、今から約10年前の時点でトロントの人口の48%がサイクリスト、全世帯の60%が自転車を所有していたそうだ。現在の数字は定かではないが、間違いなく増えているのだろう。でもこの情報は本当に正しいのだろうか。そんなにたくさんのサイクリストを街中で見かけるとは思えない。

まあいずれにしても、この自転車レーンについては、車なしでは生活できない自分にとってはトロント市の政策が全く理解できなかった。

グリーンを叫ぶ人々はさておいても、肥満の問題の解決にも繋がるようなコメントをされると、それは違うとはっきり否定したくなる。自転車に乗っている肥満なんて見たこともない。最近は自転車レーンを使ってジョギング、スケートボード、ローラーブレードまでする人を見かけることも珍しくない。でも目にするのはなぜかいつも減量が必要とは思えない人々の姿だ。 大体、10年前から本当に人口の48%がサイクリストだったら、なぜ今街を歩く人々の80%以上があんなに堂々とお腹を誇示しているのか説明してほしい。

ドライバーの立場から言えば、自転車と車が同じ道路上に存在すること自体間違っているような気がしてならない。そんなことを最初から許可する法律自体に問題がある。

去年の11月に40歳の女性がDundas Street Westでトラックにはねられて死亡する事件があった。警察はこれは避けられた事故だったとコメントした。The Toronto Cyclists Unionのメンバーがこれは自転車レーンがないために起こったと憤慨した。本気で言っているのだろうか。

避けられた事故? 車と自転車が同じ道を走らなければ最初からこんな悲惨な事件が起こるはずもない。自転車レーンを設置しても、車道と自転車レーンの間に自動車がぶつかってもこわれない頑丈な塀でもつくらない限り、発生する事故の数を軽減することはできても、事故はなくならない。道路わきにひかれたたった一本の白線に一体何を期待しているのか。

トラックの運転手が自転車に気づかなかったことを責める内容が続く。このニュースが真剣にこんな調子で続くのかと怖くなる。ここでどうしてトラックの運転手が責められなければならないのか。 大体、自転車レーンがあっても十分危険なはずなのに、自転車レーンがない道を自転車が車と対等に運転しようとするのがそもそも無理な話だ。ドライバーに突然何処からともなく現れて、時に道路の真ん中に止まったり、我が物顔に車と対等に走ろうとする自転車にいつも気を配れというのが本当にこの問題の答えなのだろうか。

今年の12月にダウンタウンでは漸くJarvis streetにある自転車レーンを取り除く作業が行われる予定になっている。そして、また新たな自転車レーンがSherborn streetに設置されることになっている。

一体一番大切なのは何なのか?

人の命か、それとも自分は事故に絶対にあわないと過信するサイクリストが主張する権利なのか?

グリーンを合言葉に、地球温暖化を抑える対策として、あるいは健康促進のために、車の数を減らして自転車の数を増やそうとする人達に反対するつもりは全くない。

しかしながら、道路にひかれた一本の白線がドライバーの死角に入り込むサイクリストの安全を本当に守ってくれるだろうか。

もし、サイクリストが車道の一部を自分達の領域だと主張し続けるのなら、彼らに対して、権利の主張にともなう義務をもっとしっかり認識させるべきだ。

ヘルメットもかぶらず、T-シャツ、短パン、サンダルで車と対等に自転車が車道に現れる姿に違和感をもっているドライバーが少なくないはずだ。

残念ながら、現状では、サイクリストは、犠牲者を出しながら、そのたびにドライバーを責め、サイクリスト側に課せられるべき義務の詳細に言及しようとしない。

権利の尊重に気を取られて弱者はしばしば自分だけが犠牲者だと思い込んでしまう。

これは弱者の権利尊重に関する問題ではなく、街中で自転車道路と車道をどう共存させるか、つまり都市計画の問題であるはずだ。

サイクリストがこの犠牲者意識を越えて、例えば、自転車が通る道と自動車が通る道を100%分離させるぐらいのことを望まない限り、根本的な解決は永遠に望めない気がしてならない。

自分が知る限り、トロントにそれができないとは思えない。

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