タグ別アーカイブ: カナダファミリークラス

カナダ政府が抱える“家族の再統合”政策問題

今月は親・祖父母の呼び寄せ移民プログラムの現状とスーパービザについて解説します。

2016年1月4日に親・祖父母の呼び寄せ移民プログラムの申請書受付が開始されたが、その3日後には最大受付数の5000ケース(その後10000ケースに増やすことを政府は約束)を上回る14000の申請書が届き、直ちに受付が停止された。受付開始日前に届いてしまったり、最大受付数に含まれなかった申請書は返却される。年末年始の休暇を準備に費やした多くの申請者の時間と労力がまた無駄に終わってしまうことにカナダ政府は無頓着だ。(休暇返上と言えば話はそれるが、サービスカナダのオフィサーが12月31日の午後2時過ぎに1月4日までに追加書類を提出するようにというEメールを送ってきたのには心底呆れた。)

ちなみにこのプログラムでは4年前に受理した申請書を現在審査中ということである。このような理不尽なプログラムは最初から無視することが賢明だと思われるが、カナダ政府もそれを意図しているふしがある。この政府発表では申請書受付停止とともに、親・祖父母のスーパービザのオプションが強調されている。スーパービザは永住権ではないので2年ごとに延長しなくてはならず、また州の健康保険にも加入できないのが難点である。しかし、日本のようなビザ免除国の国籍保有者の申請料は無料であり、申請が却下される可能性は他のカテゴリーと比べて低いものとなっている。

スーパービザの申請要件の最も重要なポイントは収入要件である。スポンサーとなる申請者の子供や孫の収入は毎年カナダ統計局が発表するLow Income Cut Offを上回っていることが必要だ。この金額は家族のサイズによって変わり、例えばスポンサーが配偶者と子供2人の4人家族であり、両親を呼び寄せる場合の家族メンバー数は計6名となり、$57,826(2016年現在)の年収が必要となる。一方、移民申請による親・祖父母の呼び寄せの場合はこの金額の30%増を過去3年分証明しなければならないので、スーパービザの申請要件の方がはるかに容易であることがわかる。この他に、健康診断をパスすること、カナダの民間健康保険に少なくとも1年加入することが求められる。

話を親・両親の呼び寄せ移民プログラムに戻すと、家族の再統合(Family Reunification)は自由党政権が掲げる移民政策の柱の一つであるが、単に受け入れ人数を増やすだけでは何の解決にもならない。このプログラムに限っては、First Come, First Served ポリシーを捨て抽選にすることを提案したい。少なくともホリデーシーズンに移民申請の準備などさせず、家族とゆっくり時間を過ごすことを奨励するのが本来のカナダらしいやり方ではないのか。

ファミリークラスの国内申請は本当に変わったのか?

今月はファミリークラス(配偶者、コモンローパートナー)の国内申請カテゴリーについて最近発表された新しい方針についてご説明します。

エコノミッククラス(個人移民)の申請については、今年1月Express Entryが始まり申請から6カ月以内にプロセスを完了すると謳われる一方で、ファミリークラスはこのシステムには組み込まれておらず、申請方法自体も何ら変更はない。しかしながら、CICより昨年12月22日付で国内申請カテゴリー(Spouse or Common-law Partner in Canada Class)からの申請者に対して申請から4カ月以内にオープンワークパーミットを発行するとの発表があったため、これを国内申請のメリットとして受けとめている人もいるようだ。しかしながら、本当にそうなのかを検証してみたい。

昨年夏以降、国内申請の審査期間の長期化についてマスコミを巻き込んでのCICに対する激しい非難が繰り広げられた結果、従来申請後の第一ステップ終了(現在プロセス期間17カ月)まで待たなくてはならなかったワークパーミットが早期に取得できるようになった。(但し、パイロットプロジェクトなので1年後見直す予定)CICとしてはこれによってとりあえずこのカテゴリーの申請者からの非難を抑えこむことができたので、今後審査期間の短縮に向けてオフィサーの数を増やすなど本格的対応をとるかどうかは甚だ疑問である。結果的に国外申請とのプロセスタイムの差は広がったままとなる可能性が高い。

また、ワークパーミットが取得できるようになったといっても、州によってはすぐにヘルスカードを取得できるわけではない。例えばオンタリオ州政府のウェブサイトによると、現在のOHIP(オンタリオ州のヘルスカード)発行のルールでは雇用主の名前の入っていないオープンワークパーミットの場合、半年以上のフルタイムのジョブオファーが必要とされている。また、他の申請者と同様にOHIPの申請資格を満たしてからの3カ月の待機期間も適用される。

さらに、ワークパーミットが取得できたとしても、永住権のプロセス期間が長期化したままである限り不都合なことにはかわりない。国内申請カテゴリーからの申請要件の一つとして“スポンサーとカナダで同居していること”が要求されているため、申請中に仕事で自分だけ他州に移ったり、その他の理由で長期別居したりしてしまうと申請資格自体が満たされなくなる。

このほかに、国外申請の場合は申請却下をされた時、Immigration Appeal Division(IAD)に異議申し立て(アピール)をすることができるが、国内申請をした場合はその権利がない。従来から国内申請のデメリットとして 挙げられていることだが、申請却下をされた際は再申請しか道が残されていないという点も考慮する必要があるだろう。国内申請に傾きかけている方は、以上の 点を考慮に入れて慎重に選択してほしい。