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Express Entry開始で見えてきた問題点

今年1月からスタートした新しい移民申請マネジメントシステム、Express Entryをめぐる最近の状況をまとめてお伝えします。

画期的な移民申請管理システムとして鳴り物入りでスタートしたExpress Entry(EE)。2月15日時点で政府から移民申請のInvitationを得たのはまだ1558人にすぎず、今年エコノミッククラスとして受入れ予定の18万人(旧システムからの申請者やEEを使わない各州プログラムなどを含む)のうちまだ僅かであるが、問題点が次第に浮き彫りになりつつある。

まず従来のように最大受付数に達するまでに申請書を提出しなくてはいけないというプレッシャーがなくなった半面、プロファイルを政府に提出してもいつInvitationを得られるかの見通しが立てづらくなっている。最近行われたDraw(選定)では、ランキングシステムで818点以上の高得点を獲得しないとInvitationを得られなかったため、Labour Market Impact Assessment(LMIA)のあるワークーパーミット保有者(600ポイント以上獲得)ですら選定から漏れてしまっているケースが多数存在する。更にLMIAのないカレッジ卒業後のオープンワークパーミット(PGWP)保有者には一体いつなったらInvitationの順番が回ってくるのか。政府はLMIAを取得できれは有利になるなどと簡単にいうが、卒業したばかりで経験年数の浅い留学生がカナダ人や永住権保有者を差し置いてどうやってLMIAを取得できるというのか。卒業後1年就労すれば永住権を申請できるという政府の謳い文句を信じてカナダ留学を決意した留学生の中には、“騙された”という怒りの声が日増しに高まっている。

EEから申請するためには移民法で定められた連邦スキルワーカークラス(FSW)、カナダ経験クラス(CEC)、連邦スキルトレードプログラム(FSTP)のいずれかの要件を満たしていることが必要であるが、EEはこれに加えてMinisterial Instruction(MI)に従ってプログラミングされているようだ。例えばCECの要件の一つであるカナダでの1年以上の就労経験について、移民法には“継続”の言葉が入っていないが、最新のMIではこれを“継続”した経験と定義しているため、これに該当しない職歴はオンラインシステムが自動的に弾いてしまう事態が起こっている。大臣のインストラクション次第で簡単にランキングが変わってしまう“不透明”なシステムという実施前からの懸念がそのまま現実となった例だ。

ポジティブな点としてはプロセス期間の長期化が問題となっていた州指名プログラム(PNP) について、BC州などはEEと組み合わせた新しいプログラムを発表しており、連邦政府の要件を満たした申請者は優先的に審査されることだ。

今後EEに対してどのような政府によるパッチワークが行われるのか予想することは難しいが、今後の移民申請希望者は刻一刻と変わる状況や、MIを含めた最新情報をもとに自ら判断することが求められる。 

移民申請の仕組みががらりと変わる、Express Entry 開始

今月は1月から始まった新しい移民申請システム、Express Entry(EE)について知っておくべき留意点について解説します。

昨年12月にExpress Entry(EE)についての概要が発表されたが、実際には未だ詳細が詰められていない点や実施が遅れる内容もあるようだ。とはいうものの今月第4週には最初の“Draw”が行われる予定なので、現時点でこのシステムからの申請にあたって少なくとも理解しておくべきポイントについて確認しておこう。

まず今回の改定は申請方法、申請者の選定方法の変更であって、申請要件そのものが変わるわけではない。EEから申請するためには連邦スキルワーカークラス、カナダ経験クラス、連邦スキルトレードプログラムのいずれかの要件を満たしていることが前提である。そのためステップ1のEEプロファイルを提出する前に、必要な語学スコア取得も含め、自己の申請クラスの要件を全て満たしていることが必要。この点を無視してフライングすると、Invitation to Apply(ITA)を取得した後のステップ2でその証明ができず先に進めなくなってしまう。

EEはポイントシステムであるが、何ポイントあれば合格というわけではなく、他の候補者との相対的な位置づけによってITA を発行されるかどうかが決まる。Labor Market Impact Assessment (LMIA)によって承認されたジョブオファー、または州政府からノミネートされると合計1200ポイントのうち600ポイントが与えられ、ITA発行がほぼ確実になる。しかしながら例えば、保有するワークパーミットがLMIAの承認によって取得したものでなくても諦めることはない。前述したようにLMIA取得者が少なければ相対的な位置づけが引き上げられてITAを発行される可能性が高まるからである。

プロセス期間であるが、CICのいう“半年以内にプロセスを完了する”というのは、ITAを発行されステップ2の申請完了後の期間のことである。従ってITAを待っている間やLMIAの承認を得るまでの期間は含まれていない。ただ政府からの正式な発表はないが昨年後半は申請者が殺到したと見られるため、既に申請を済ませた人でもケースによっては新システムで申請し直した方が結果的に早く永住権を取得できる場合もあるだろう。

最後に新システムへの移行がスムーズに行われることはあまり期待しない方がいい。CICの一時滞在許可証のオンライン申請が安定するのに1年以上を要した点や、LMIAのルール改定後、エージェントの不統一な回答が半年近く続いたようにルール変更に伴って過去に起こったカナダ政府の対応の杜撰さを考慮すれば、同様の混乱を覚悟する必要があるだろう。

新しい移民申請管理システム Express Entry(EE)

2015年1月からカナダイミグレーションの新しい移民申請管理システムとして、Express Entry(EE)が導入されました。これによって従来のように申請基準を満たした申請者を“先着順”に審査するのではなく、申請者を一旦プールしてランク付けし、カナダでより経済的成功を収めると判断される候補者を選定し、優先的に永住権が発行されるシステムに変わりました。申請書は電子化され、以下2段階のステップを経て永住権が発行されます。

Express Entry Step Chart

ステップ1

カナダ移民申請希望者はスキル、職歴、学歴、言語能力、その他の特性を記入したEEプロファイルをオンラインで提出します。この段階で申請者は連邦スキルワーカークラス(FSW)、連邦スキルトレードプログラム(FSTP)、カナダ経験クラス(CEC)のうち少なくとも1つのクラスの申請要件を満たしている必要があります。

カナダの雇用主からのジョブオファーや州政府からの指名を取得していない申請者はジョブバンク(カナダ政府のリクルートメントサイト)に登録することが必要となり、雇用主とのマッチング機能を使ってジョブオファー取得のチャンスを探ります。但し、その他の手段によって雇用主を独自に探すことに制限はありません。

カナダ政府は独自のランキングシステムによって各候補者にスコアを付与し、候補者グループ(Express Entry Pool)内での位置づけを決定します。

登録されたEEプロフィールは1年間有効で、その間にスコアに影響するような変更があった場合はプロフィールをアップデートすることができます。

ステップ2

カナダ政府は以下のいずれかに該当する候補者に Invitation to Apply(ITA)を発行します。

  • Labour Market Impact Assessment(LMIA) を経て承認されたジョブオファー取得者
  • 州政府のCertificate取得者
  • スキル、職歴、学歴、言語能力をベースとしたランキングシステムにおいて高スコア取得者

ITAを取得した候補者は連邦スキルワーカークラス(FSW)、連邦スキルトレードプログラム(FSTP)、カナダ経験クラス(CEC)、州指名プログラム(PNP) のいずれかから60日以内に永住権を申請します。CICはこの申請書受付から半年以内に審査を完了することを目標としています。

 

 

システムが根本的に大きく変わる移民選考モデル

今月は来年1月から開始予定のExpress Entryの概要とその導入の意味について考えます。

2015年1月からカナダイミグレーションの新しい選考モデルとして、Express Entry(EE)というシステムが導入される。これまでの一定基準を満たした申請者を“先着順”に受け入れるという受身的なモデルから、申請者の中から労働市場が最も必要とするスキルを持った候補者を選別し、永住権取得への道筋をつける能動的モデルに大きく転換する。既にオーストラリアやニュージーランドで同様のシステムが採用され一定の成功を収めていることから、カナダもこれに倣うことにした模様だ。選考プロセスにおいてこれまでとの大きな違いは、2段階のステップを経て永住権を発行する点にある。

第1ステップでは、カナダ移民希望者が職務経験や資格、教育、年齢などの情報をEEフォームに記入しオンラインで提出。政府は特定の基準を満たした申請者を、候補者グループに加えランク付けを行う。政府はそのグループ内で需要のあるスキルを持つ人や雇用主からジョブオファーのある候補者を“Best Candidate”として選定し、Invitation to Apply(ITA)を発行する。

第2ステップでは、ITAを発行された候補者が連邦スキルワーカークラス(FSW)、連邦スキルトレードプログラム(FSTP)、カナダ経験クラス(CEC)のいずれかから永住権を申請する。また、年間割り当て数が決まっている州指名プログラム(PNP)のその人数から溢れた申請者についても、各州政府のオプションでこのシステムを使用できるとしている。

現在、政府はEEシステムを確立するための移民法改正を急いでいるが、ITAを発行するための基準、候補者グループ内でのランク付けの基準、申請クラス別のITAの数、ジョブオファーの正当性評価の方法などの詳細が法律の条文にとして現れることはなく、これらは全て大臣の権限で決定、随時変更される見込みだ。

以上が現在発表されているEEの概要及び政府内での動きとなっている。残念ながらCICの発表はシステムが変わることを表面的にしか伝えておらず、これが移民申請希望者にどのような影響をもたらすかを十分に伝えていないと言わざるをえない。来年以降は現行の各クラスの申請資格を満たしていても、政府からInvitationを発行されなければステップ2の移民申請に進めないことになる。さらに、大臣が決定するITAの発行基準によっては、現在のクラス別の申請基準が形骸化し、申請基準を満たすことがより厳しくなるかもしれない。カナダ移民希望者にとっては中長期どころか1年先の移民申請プランも立てられない厳しい状況となるだろう。