Quebec I know… -ケベックワの優しさ

 
カナダは英語とフランス語が共に公用語であるとは言っても、トロントに住んでいるとやはり英語圏の人はフランス語があまり好きじゃないんだと感じることが多い。個人的には、モントリオールがカナダでも一番好きな街なのでちょっと残念な気がする。

自分がケベックが好きな理由は、たくさんあるが、モントリオールの旧市街の美しさとか、ノートルダム大聖堂のせいではない。正直フランス語自体も、カナダの英語の訛りとは対照的に、フランスのフランス語とは似ても似つかない事実は弁護できない。ちょっとかわいそうな気さえする。

でも、昔こんなことがあった。モントリオールでフランス語を勉強し始めてから2カ月ぐらいたった頃だったと思う。あの時は英語が全く話せない友達のジュリアとよくモントリオールでもフランス系の人たちだけが集まるエリアで時間を過ごした。あまりフランス語が上手じゃなかった自分に対して、周りの人たちは本当に親切だったのを覚えている。ジュリアがよく2人でレストランのテーブルがあくのを待っている間に、全く見も知らない人たちと話をし始める。レストランから食べ終わって出てくる人に向かっておいしかったどうかについてまるで友達のように話をする。不思議な気がした。

ある日、何の気なしに2人で入ったカフェで、またこんなことが起こった。ジュリアが自分に何が飲みたいか聞いた。暑い夏の日だった。心の中でそれりゃ、アイスミルクティーなんかがあったらいいかなと思いながらも、でもそんなものはここにはないって思っている自分に、またジュリアが同じ質問をしてくる。あの時はモントリオールにはアイスコーヒーもアイスティーもなかったと思う。リキッドシュガーが未だにトロントでも珍しいぐらいだから無理もない。

そこでまた彼女が聞いてくる。自分も正直に、自分が今本当に飲みたいものはここにはないと答える。すかさず、今度は店の人がジュリアと一緒になって自分に何が飲みたいのか聞いてきた。そこでアイスミルクティーが飲みたいというなり、それを作るのに何が必要なのかを聞いてきた。自分が何故そんなことを聞くのかと言うと。彼らは口を揃えて、こういった。Tout est possible à Montréal. (モントリオールではなんでも可能だ。)

冗談交じりに、紅茶と、砂糖と、アイスとミルクというなり、2分後、テーブルには全てが用意された。このカフェは別に特別なカフェではなかった。うれしかった。過去にイギリスに行った時もアメリカに行った時もこんな人との触れ合いは経験できなかった。

同じ年の秋に、クジラを見にケベックの田舎に旅行した時も、自分の拙いフランス語に人々は信じられないほど親切だった。誇張じゃなく、感動の日々が続いた小旅行だった。

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