Lance Edward Armstrong is Hero or Villain? -ドーピングテストの本音と建前


2000年以来、自転車プロロードレース、Tour de Franceで7回優勝しているLance Edward Armstrong、肺と脳に転移した睾丸癌を克服し、人間の命の強さを世界に知らしめた彼は、1997年に癌患者を支援するLivestrongとういるチャリティ-財団さえ設立して、世界的な慈善家としても知られていた。

その一方でこの10年ぐらいの間ドーピングの疑惑をかけられ、彼自身そのことをずっと否定し続けてきた。

ところが、昨年10月United States Anti-Doping Agencyから提出されたレポートが彼のドーピング行為を立証したことで、過去のタイトルが全て剥奪され、オリンピック競技会からも永久追放された。同時に、Livestrongの議長としての地位も辞任に追いやられた。

そして今月Oprah Winfreyとのインタビューで公にドーピング行為があったことを認めた。今回のインタビューの中で、Lance Edward Armstrongは、1990年代半ばにドーピングを始め、2005年に7つ目のタイトルを手にするまで続いていたこと明らかにしている。また、United States Anti-Doping Agencyのレポート内容を否定して、当時はただ他のチームメートがやっていたことを自分もやったのだというコメントをしている。

彼の意向としては公式に陳謝して、周りの人々から信用を取り戻したいというものだが、メディアから報道される情報を耳にするかぎり、よくも今さらそんなことが言えたものだというコメントがネットを通して世界中に広がっているように感じる。

そして彼の嘘が引き起こした波及効果は、彼が成し遂げたと思われた過去の栄光を全て消し去るだけでなく、彼の残された人生を徐々に破滅に追い込んで行くにちがいない。

しかしながら、なぜLance Edward Armstrongだけがこんな目にあっているのか、不思議に思っている人も少なくないはずだ。

例えば、オリンピック競技でもドーピングで失格になる選手の話は決して珍しくない。そして、その同じ競技のなかで、失格にならなかった選手が本当にドーピングをしていなかったと言い切れる人がいるだろうか。

まして、スポーツ界には誰が見ても薬を使っているとしか思えない短期的に肉体的変貌をとげる選手はごまんといる。勿論、彼らもドーピングテストをパスしている。

ニュースの中に、Lance Edward Armstrongは1990年代半ばから2005年に7つ目のタイトルを手にするまで、他の参加選手と同様にドーピングのテストを受けていて、陽性の結果は一度も出ていなかったにもかかわらず、United States Anti-Doping Agencyは、「だからと言ってドーピングをしていなかったとは言えない。」とコメントしたという報道があった。

それでは過去にドーピングテストを受けてパスした勝者は誰ひとりとして、ドーピングしていなかったという証明をしていないことになる。

納得いかない内容の報道が続く。

世界一を争う競技に参加するトップ選手のマインドは、近所に住んでいる何かと勝気な男の子が町内会の野球大会で闘争心をむき出しにするのとはちょっとわけが違う。

どんな手段に訴えても世界一の座に辿りつこうとする闘争心は、おそらく一般人の想像をはるかに超えるレベルにあるにちがいない。

外目には才能に恵まれたアスリートとして簡単に理解されてしまうが、世界一に手の届く距離に一旦近づいたトップ選手達の精神状態を世間は本当に理解しているのだろうか。

自ら尋常ではない競争社会をつくりだしておきながら、トップ選手が勝ちたいと思うあまり薬の誘惑に負けてしまう弱さを世間は本当に責めることができるのだろうか。

まして、ドーピングが横行していることに気づいていながら、知らないふりをする人達がどうしてここで責められるべき対象になっていないのか。

ここでLance Edward Armstrongの嘘を正当化しようとする意図は毛頭ない。

ただ、彼のついた嘘がまるでこの事件の中心であるかのようにメディアが脚色する姿勢に対しては違和感を覚える。

メディアがこの事件でフォーカスすべき点は、彼の嘘が生み出す波及効果ではないはずだ。問題なのは、トップ選手のドーピングを感知できないドーピングテストを実施している機関と、そして、そのドーピングテストを感知されずにパスさせようとするドーピングエキスパートとの癒着。

本当に現行のドーピングテストは俗に言うループホールだらけなのか。それともループホールを見つけ出そうとするドーピングエキスパートが絶え間なく一歩先に出ているだけなのか。それともこの二つは後ろでつながっているのか。

真相がどうであれ、残念ながらこの問題はスポーツ界全体が故意に解決しないようにしているとしか思えない。

同時に、どうしても腑に落ちない点はドーピングテストで一度も失格になっていなかったLance Edward Armstrongをなぜそこまで疑う必要があったのか。

United States Anti-Doping Agency のコメントの通り、Armstrongが初めてTour de Franceのタイトルを手にした1999年の時点でドーピングテストが彼のドーピング行為を感知できなかったのだとしても、彼のドーピング行為に気づいていた周りの人間の多くは、明らかにこれまで見て見ぬふりをしていたことになる。

メディアはなぜかLance Edward Armstrongがやり玉に挙げられた真相を明らかにしていない。ドーピングテストで陽性が出なかった選手をあそこまで追及しなければならなかった本当の理由は何なのか?

もしかしたらスポーツ界の陰の大御所の逆鱗に触れるような何かをArmstrongがしてしまった事実が背後に隠れているのかもしれない。そして、そのつけが普通なら見過ごされるはずのドーピング行為に目をつけられてたたかれてしまったというシナリオなら少しは納得もいく事件になるような気がしてならない。

いずれにしても、今回の事件に関する限り、「ドーピングをしてはいけない。」という建前と「ドーピングが横行しているが、ドーピングテストで陽性が出なければ許されてしまう。」という本音がある中で、睾丸癌が肺と脳に転移して50%の生存率から生き残ったLance Edward Armstrongが想像を絶する努力のもとに成し遂げた栄光を全て取り上げてしまうという判断が本当に正しいと言えるのだろうか。

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